アメリカ在住7年で感じたアメリカでの生活の特徴やメリットとデメリットを解説したいと思います。これからアメリカに赴任、移住、留学をする方などのの参考になればと思います。
子育て・教育
子育てはメリット、デメリットがあるし子供が今後の人生設計をどうしていくかによって大きく異なるとは思いますが、個人的には将来日本に戻る前提であってもメリットの方が大きいように感じます。
アメリカと日本の教育の違いはこちらの記事もご参考。
メリット
英語がうまくなる
当たり前ですが英語が上達します。多くの学校ではESLという英語を第二外国語とする子供に英語を教えてくれるクラスもあって上達は早い。
特に発音は口の動きや音の出し方など徹底的に教えてくれます。これは日本で勉強したり大人になってから英語を覚える人と大きく違う有利なところ。日本人独特の発音ではなくなるのでうらやましい。
アメリカの英語学習法についてはこちらの記事もご参考。
自己主張・自己肯定感・多様性が育まれる
アメリカでは、幼稚園(キンダーガーデン)のころからシェアリングといって自分の思っていることや体験したことをみんなの前で話したり、その後の小、中、高校とスピーチなど自分の意見を言う機会が多い。
自然と自己主張が出来たり、プレゼンがうまくなったりと社会に出ても役にたつスキルが身に着けられる。また、こうした体験や教育方針などもあり自己肯定感の強いポジティブな性格になるケースが多い。
多様な人種がいる国。自然と多様性を持った子供に育つ。大学進学も学校の成績だけでなく地域活動、スポーツ、ボランティアなど様々な活動を総合評価されるのでそういった部分も多様性を育むのに役立っているのだと思う。
IT活用・STEM・柔軟性のある教育が受けられる
地域、学区、学校によって差はあるが、日本と比較すると、ITの活用、STEM教育など、進んでいる部分が多い。
パンデミックの影響ももあるが、読書や英語、算数などタブレットを使った学習やGoogle Classroom やSeesawなどの学習管理、先生とのコミュニケーション用のアプリの活用など。子供の成績もタイムリーに確認できる。学校からの連絡は毎日のようにメール配信される、面談もパンデミックの影響もありZoomなどのリモートを活用。
ホームスクールなども一般的。また、早生まれの場合は学年を変更することが可能だったり柔軟性がある対応も魅力的。
世界トップの優秀な大学が多い
高校まではそれほどレベルが高いとは言えない部分もあるが大学は世界で間違いなくトップ。
豊富な資金力や研究、産学連携などどれをとっても世界のトップであることは間違いない。
世界中から人材も集まるので将来の人脈づくりにも役立つ。
色々なスポーツや体験ができる
日本では年間を通して同じスポーツをするというのが一般的ですが、アメリカでは子供によっては季節ごとにするスポーツが異なることも。
冬はバスケ、水泳、春は野球、秋はサッカーといったように季節ごとに違うスポーツをすることも可能。その中から子供の適正にあったスポーツを選んでいくというような選択肢もある。我慢して最後までやらせるというより、得意なもの、好きなものをみつけて伸ばしていくという考え方。
夏休みが2カ月以上あるが、地域ごとにいろんな種類のサマースクールがある。ネイティブキャンプ、STEM系のもの、アート関連や演劇、スポーツなど1週間単位で開催されていることが多い。子供たちはここでいろんなことを学んで体験することができる。
デメリット
日本語の維持が大変、算数はレベルが低い
こちらも当たり前ですが日本語の維持は大変。特にアメリカに住む日本人の子供がみんな苦労するのは漢字。アメリカ永住の子供の親はここであきらめるケースも多いという印象。
兄弟・姉妹のいる家庭だと家では必ず日本語を使うとか、日本人補習校に通うなど日本語を維持するためにかなり意識して取り組まないと厳しい。
算数も日本と比べるとレベルが低いという印象。答えを導くプロセスを重視する傾向がるような印象でその点は良いのだけど、計算力は弱い。特に暗算は出来ない子がほとんど。(レジで現金で払っても店員さんがおつりの計算が出来ないのはその例)
送り迎えが大変
アメリカではどこに行くのも基本的には親が送り迎えする必要がある。
学校の送り迎えに始まり、習い事、通っている場合は日本人補習校の送り迎え、専業主婦であっても働いている夫も協力するのが当然。共働きの場合は、オーペアやナニー(いわゆるベビーシッター)さんなどを雇う必要がある。
お金がかかる
何公立校は高校まで試験がなく住んでいる場所によってきまるが、学校の運営は固定資産税を財源に運営されているため、地価の高い地域の方が必然的に学校のレベルが高くなる。
つまり、レベルの高い学校に入ろうとすると家賃の高い家を借りる必要があるということ。不動産サイトなどで学校のレイティングは確認できる。10段階。例えば、Zillowなどは家探しの際に便利。
スポーツなどの習い事もシーズンごとに必要。学校の部活も費用が必要。
そしてなんといっても高いのが大学。平均でも年間300万、私立の一流校だと700万程度するところも。
その他アメリカの教育の特徴はこちらもからも。
日常生活(家、交通、買い物、食事)
日常生活もメリット、デメリットそれぞれ。感じ方は個人によって異なるが、その土地に自分を合わせていくのが一番。悪いところも、「日本だったらこうなのに」ということばかりかんがえてしまうとイライラするだけなので割り切っていくのが一番。そのためにも渡航前にある程度知って心の準備をしておくのは大事。
メリット
家が広い、公園が多い、自然が豊か
家が広いのは日本と比較して大きなメリットの一つ。キッチンも広くほとんどの家には大きなオーブンがついていて、大きいカウンターもあって使いやすい。トイレ(ユニットバス)も2カ所が基本。
バックヤード(庭)も広く一軒家だとプールのついている家も多い。バックヤードでの夏場のバーベキューは定番。アパート(日本のマンション)もプールやスポーツジムなどの設備がついているケースが多い。
広い公園も多く、トレッキングコースなどの充実している。スポーツグランドも多く、例えばサッカーのグランドは芝生かターフ(人工芝)で日本ような土のグランドはほとんど見ない。
ゴルフ場も多く値段も安い。もちろんピンキリですが、それなりのコースでも50ドル程度でプレイできるところも。日本と違ってカジュアルな雰囲気で気軽に楽しめる。
アメリカで家を借りるのはこちらをご参考。
人ごみ、満員電車がない
もちろん住むエリアにもよるけれど日本のような人ごみは少ない。通勤もほとんどのケースが30分以内の車通勤で満員電車に揺られて1時間というのはほとんどない。
加えて働き方も柔軟性が高いケースが多いので家族と過ごす時間が圧倒的に多くなる。
いろんな国の料理が食べられる
移民の国。多種多様な人種がいるためレストランやスーパーもいろんな国のものがある。アメリカン、メキシカン、イタリアン、などの他にもアジア系も充実している。その国出身の人におすすめを聞くのが良いが、自分で探す際に便利なのはYelp、日本のぐるなびのアメリカ版。口コミ件数が多く評価も高いところは信頼できる。個人的には星4.0以上で500件以上レビューがあれば安心。4.5だとかなりの人気店なので予約や行列ができているケースが多いという印象。
最先端のアイテム・トレンド
世界の中心、最先端のテクノロジー、考え方、ライフスタイルであふれている国。シリコンバレーを中心とした企業がリリースする新しい製品やサービスにいち早く触れることができる。テスラも町中に走っていたり。健康意識の高いトレンドフードなど。アメリカで流行しているものが1年~2年後に日本で流行るケースもあり、流行の先取りが出来る。ファーストフードなどはその例。まだ日本にないファーストフードのはこちら。
国内旅行が楽しい
アメリカには有名な観光地がたくさん。イエローストン、グランドキャニオン、ヨセミテなどの国立公園や、ニューヨーク、ロサンゼルスなどの大都市、ディズニーランド、ユニバーサルスタジオなどのテーマパークなど。大人だとナパバレーのワイナリーなども人気の観光地。
高速道路はほぼ無料。値上がりしたとはいえガソリンは日本より安いのでロードトリップも楽しくてリーズナブル。
セール品、アウトレット、返品自由
日本に比べて物価は高いがうまくやれば安い買い物ができる。ブラックフライデーやクリスマスなどのセール。アウトレットも多い。日本にもある郊外型の大型アウトレットだけでなく中型店舗で衣料品や日用品、食料品までアウトレットで揃うのは便利。
アメリカで驚いたのは一度購入した商品を返品するケースが多いこと。店によって対応は異なるが食べて気に入らないと一度開封していても返品可能だったり、明らかに一度着た洋服を返品している人もチラホラ。
デメリット
家賃が高い、家は古い
1ベッドルームの全米平均が$1,680、2ベッドで$1,958*
高いエリアだとそれぞれ$3,000、$4,000という都市も。
*apartmentguide.comより
家賃は高いが家は古い。一軒家だと築50年などはざら。一軒家を契約する際はオーナーと直接契約する必要があり、家賃は毎年交渉となる。日本と比較してオーナー側に有利な契約が基本。設備、水回りなど問題があった場合はオーナーに連絡して修理してもらうかオーナーが業者を呼ぶ。オーナー次第で対応が異なるので家探しの際に出来るだけ確認するのが良い。いずれにしても、家そのものだけでなくオーナー選びも大事なポイント。
日本と異なる基準、ルール
生活するのに色々と基準が異なるのでなれるまでに時間がかかる。
- 交通ルール
車は左ハンドル、右側通行、こちらも慣れるまでに時間がかかる、一時帰国したときに日本で運転すると逆走してしまう。
右折信号なし。こちらは個人的には便利なので日本でも取り入れてほしい(日本の場合は左折信号)
歩行者優先。歩行者が横断歩道に立っていれば必ずストップ。そのまま行くと中指たてられることも。 - 単位が違う
距離はマイルやフィート、重さはオンス、ポンド、気温は華氏と単位はほとんど全て違います。大まかでも感覚をもっていないと不便。 - サマータイム、時差がある
サマータイムは何度経験しても時間が進むのか戻るのか覚えられない。時差も西と東で3時間、仕事をする上では注意が必要。 - チップ
レストラン、ホテル、タクシー(最近ではUberやLyft)、ホテルなどではチップを支払うのが常識。レストランだと税前の15%~20%、サービスが悪い場合はもちろん減らしていい。カードでの支払いがほとんどなので、レシートにチップ支払い額を記載すれば良い。
不便、日本食が高い
日本と比べるといろいろと不便が多い。特に日本のコンビニの有難さをしみじみ感じる。何かちょっとしたものを買うのも車が必要。
日本食はアメリカでもブーム、寿司、ラーメン、を中心に店舗数は増えているが日本と比較するとやはり高い。日本食スーパーも高い。
サービスが悪い、医療費が高い、治安が悪い
アメリカは根本的に分業制の社会。何か問題があっても自分の責任範囲でないとたらい回しにされるケースが多い。
時間にルーズで電話対応も待たされることが多い。同じ会社のカスタマーサービスでも人や交渉の仕方によって対応が異なったりすることも多い。DMV(日本でいう免許センター)も人によって対応が違うことも多い。
医療費は高い。軽い風やケガなどはホームドクターに診てもらうが、土日に何か起こったり、何か特殊な病気になっても色々な病院をたらいまわしにされるケースが多い。
日本と比較すると治安は悪いので注意が必要。住む地域によっては非常に治安の悪いところもあるので家選びの際には事前に確認しておくことが大事。いろんなサイトで治安や犯罪の履歴などは確認できる。例えば SpotCrimeなど探している地域のZIPコードや住所を入れると犯罪履歴の確認ができる。
文化・考え方・マナー
文化や考え方はメリットととるかデメリットと感じるかは個人によるので日本と違うところを列挙します。
レディーファースト
ご存じだとは思いますがアメリカはレディファースト。男性がドアを開けてくれる女性にとってはとてもありがたい。飛行機で何も言わなくても荷物を降ろしてくれたりレディファーストがしみついている。
靴は脱がない
最近では靴を脱ぐ家庭も増えてはいるようですが、家の中で靴は脱がないのが基本。なので玄関に靴箱や靴を脱ぐスペースはありません。日本人の家庭や日本人とアメリカ人の家庭では靴を脱ぐようにしているケースがほとんどという印象です。
友人などを招くときだけでなく、修理業者や家具を購入したときの業者さんなんかにはきっちり伝えないと土足で入ってくるので注意が必要。
オフィスやお店でテーブルの上に足をのせる姿もたまにみます。
ハグ、握手、ジェスチャー
コロナの関係で今はやらないことが多いですが、ハグ、握手はで立った時と別れるときにする。感覚的にはハグはあまりしない。女性と男性の場合は男性からハグをするのはNG。女性からする場合のみOK。
ジェスチャーはいろいろあるけど良くみるのは、親指をあげて「イイね」を意味する”Thumbs Up”, 両手の手のひらを上にあげて「わからない」を意味する”Shrug”, 両手の人差し指と中指をまげて「カギかっこをつけて強調する」”Air Quotes”, などでしょうか。それ以外にもいろいろあります。
家族優先
アメリカでは家族や家族との時間を何よりも優先する人が多いように感じる。仕事が忙しくても夕食は家族ととって、そのあと自宅で仕事するなど。日本のように会社帰りに一杯といった文化はあまりない。金曜日の夕方にハッピーアワーで少し一杯というのはあるが夕食までには帰るケースが多い。
仕事中であっても子供の送り迎えや病院に連れていくなどで会社を離れることも多いがそれを良しとする雰囲気、文化がある。
日本と比較して祝日は少ない。その代わり個人で家族の予定に合わせて有給休暇をとることが多い。
コメント