アメリカの教育まとめ(日本との違い)

教育/習い事

地域によって異なる教育制度

【分権化された教育制度】
日本では文部科学省が日本全体の教育に関する法律、規則、計画の策定などを行っているが、アメリカでは基本的に州や郡(カウンティ)や学区(スクール・ディスクリクト)に権限が委譲されていて、アメリカ全土での教育に関する規則というものが存在しない。

【教科書のない小学校】
また、教科書も日本のように文科省が学校指導要領をもとに認定(検定)したものが支給され使うのではなく州の決めたガイドラインをもとに各学校や先生が自由に選ぶ。小学校(エレメンタリースクール)では先生が市販のものをコピーして使ったり、ワークブックを使うケースが多い。中学、高校になると指定された教科書をレンタルしてくる。日本の大学の授業で使う参考書のような位置付けで、大きさも厚みも日本の教科書に比べるとボリュームがあるので自宅用と学校用(教室に常備)がある。教科書の指定も州によって強制力のある州とない州に分かれる。

教育課程

【義務教育の期間】
日本では小学校、中学校が義務教育で9年、高校が3年となっているが、アメリカでは高校(ハイスクール)までが義務教育。州によって異なるが16歳~18歳となっていて日本より長い。小学校(エレメンタリースクール)、中学校(ミドルスクール)、高校(ハイスクール)はそれぞれ、5-3-4年とする州と6-3-3年とする州に分かれる。幼稚園年長(キンダーガーデン)も併設するエレメンタリースクールが多くその場合、無料で受けられるため、ほぼ義務教育という認識になっており、その13年間を実質的な義務教育として「K-12」と表現されるのが一般的。

【学期のスタート】
日本では新学期は4月からスタートするが、アメリカでは9月(もしくは8月から)からのスタート。年齢は9月1日~8月30日もしくは1月1日~12月31日で区切られるケースがある。州によっては下の学年での入学を認めるケースも多く実際の利用率も多いという印象がある。6月には学期が終了し夏休みは2ケ月強と長いのも日本との違い。夏休みを利用してさまざまなサマースクールい通う子供が多い。

【日本の学年と年齢との比較(カリフォルニアの例)】

年齢日本学年アメリカ学年
~4歳保育園・幼稚園年少・年中プリスクール(またはデイケア)
5歳年長キンダーガーデン
6歳小学校1年生エレメンタリースクール1st Grade
7歳2年生2nd Grade
8歳3年生3rd Grade
9歳4年生4th Grade
10歳5年生5th Grade
11歳中学校1年生ミドルスクール6th Grade
12歳2年生7th Grade
13歳3年生8th Grade
14歳高校1年生ハイスクール9th Grade / Freshman
15歳2年生10th Grade / Sophomore
16歳3年生11th Grade / Junior
17歳4年生12th Grade / Senior

進学

【公立校】
公立校では住んでいる地域によって入学する小学校(エレメンタリースクール)、中学校(ミドルスクール)、高校(ハイスクール)が自動的に決まるという仕組み。学校の運営は固定資産税を財源に運営されているため、地価が高い地域の方が教育水準が高くなる傾向にある。こういった仕組みは地域間での格差やを生むといった弊害もある。こういった背景もありからうまれたのがチャータースクール。全米で6.5%の生徒がチャータースクールに通っており年々少しずつ増えている。

【私立校】
アメリカでも私立はあるが、日本と比較すると生徒数の割合は10%程度と少ない。全米の全ての私立学校の平均の授業料は$12,000強というデータなので日本と比較して高いという印象はないが人気のある私立校は$30,000を超えるところも多い。また公立校と違い入学には試験や面接などの入試があり、学校によっては入試を受けるためにはコネクションなどが必要なケースもある。

授業の内容

【キンダーガーデン】
キンダーガーデンは日本でいう幼稚園の年長にあたる1年間。プリスクールに併設されているケースが多い。英語や簡単な算数、日本の幼稚園と同じように音楽や工作などを授業中に行う。アメリカの特徴として、キンダーガーデンから自主的に発言したり、シェアリングといって自分の意見を言う機会が多いという印象。地域にもよるがESL(英語が第二外国語の生徒に英語を教える授業)もある。

【エレメンタリースクール】
6歳~10歳の5年間ないしは6年の日本でいう小学校にあたるのがエレメンタリースクール。日本と同じように英語(国語)、算数、理科、社会、音楽、図工、体育などがある。英語と算数の時間が多いのは日本と同様。座席はグループ単位となっており、日本のような一列に並ぶスタイルとは異なる。プロジェクトやシェアリングなど自分で積極的に発表したり意見を言う機会も増える。ESLはキンダーガーデンと同様。
アメリカ独特のイベントは、ハロウィンは生徒や先生が衣装を着てきてパレードをしたり、パジャマデーといって生徒が1日中パジャマを着て授業を受けたり、変な髪型をしてきたりと学校によってイベントがある。日本のように運動会や球技大会はないが、家族を招いての音楽やダンスの発表会などはある。

【ミドルスクール】
11歳~13歳の3年間がミドルスクール。エレメンタリーとは場所異なり公立の場合はいくつかのエレメンタリーの生徒が集まつて一つのミドルスクールとなるのも日本と同じ。英語(国語)、算数、理科、社会などの科目があり、その他に選択科目として、STEM、コンピュータサイエンス、日本でいう家庭科や技術のようなものがある。
授業は日本のように一つのクラスで同じ授業を受けるのではなく、各個人が比較的自由に科目を選択できるケースが多い。また評価もテスト以外にも個人、グループそれぞれでのプロジェクトやスピーチ、エッセイなどで評価される。日本と比較してよく言われることだが、正解を答えるのではなく、「どう思うのか」ということを良く問われる。
ミドルスクールからはクラブ活動もある。日本では基本的に3年間同じクラブに所属するケースが多いが、アメリカでは、季節ごとに異なるクラブに所属するケースが多い。

【ハイスクール】
ミドルスクールと同様に自分で科目を選択して各科目の教室に移動して授業を受けるスタイルでさらに選択科目のバリエーションが増えてくる。日本の大学のように単位性になり、必須科目の単位と、卒業に必要な単位を満たす必要が出てくる。また、科目によっては大学の単位として認められるものや、ボランティア活動などで単位が加算されるものなどより柔軟性の高いシステムになる。
成績だけでなく部活動やボランティアなどの活動が大学の進学に影響してくるためそういったことを意識して行動するようになってくる。

まとめ

・アメリカの教育システムは分権化されていて、教育制度は州、学区、学校単位で異なる。
・アメリカの小学校には教科書はない。中高生はレンタル。
・アメリカでは高校までが義務教育で公立校では受験がない。
・地域格差があり地価の高い地域の方が教育水準が高くなる傾向にある。
・キンダーガーデン(幼稚園年長)からシェアリングなど自分の意見を言う機会が多い。
・ミドルスクールから科目は選択制になるり、ハイスクールでは単位性となる。
・クラブ活動は季節ごと、複数のクラブに所属する生徒も多い。
・大学進学には成績だけでなくボランティア活動やクラブ活動なども重要。

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