アメリカで2018年頃から爆発的に人気が出ている「ハードセルツァー(Hard Seltzer)」その特徴やフレーバ、代表的な銘柄を紹介。
ハードセルツァーとは?
ハードセルツァーは簡単に言うとアルコール入り炭酸水(セルツァー)にフルーツなどのフレーバーを加えたもの。
アメリカでは通常サトウキビの砂糖(ケーンシュガー)を発酵させてつくられているのでグルテンフリーのものが大半だが、一部モルトを使っているものもある。
アルコール度数も5%前後のものが多く、カロリーも100カロリー程度と低いものが主流で砂糖の2g程度と少ない。
含有されているものは、スパークリングウォーター、天然フルーツフレーバー、サトウキビ(アガベシロップ)、など。一部、ウォッカなどの蒸留酒にスパークリングウォーターを加えフルーツフレーバーを加えたものもハードセルツァーとしてカテゴリーされている。*
低カロリー、グルテンフリー、砂糖が少ない、という理由から健康志向を求めるアメリカ人の特にミレニアル世代に人気。2018年から19年にかけて爆発的に市場を伸ばし、2021年も$3,00M程度(約3,300億円)と前年から30%以上の伸びが見込まれている。
*ジン、ウォッカ、ウイスキーなどの蒸留酒を炭酸水で割ったものとは区別されるケースが多い(日本の缶チューハイやハイボールなどもこのカテゴリー)というより、コンセプトとして低カロリー、グルテンフリー、なので、アメリカではカクテルとして飲まれるケースの多いジンやウォッカはそこに高カロリーなフレーバーが加えられることが多い。
人気のフレーバー
各社がさまざまなフレーバーを出しているが、定番は、ブラックチェリー、マンゴー、ライム。この3つのフレーバーで市場の約半分のシェアを持っている。
定番のチェリー系、フレッシュフルーツ系、柑橘系、など4種類入りのバラエティパックでの販売しているメーカーが多い。
加えてアイスティーとフルーツ、レモネードとフルーツなどの組み合わせも定番化。糖質を減らしたものやアルコールが高めのものなども、大手を中心にラインナップが増えている。
その他最近ではスムージーとハードセルツァーを組み合わせたものもマイクロブリュワリーなどでつくられており人気が高まっている。カロリー、糖質面では従来のハードセルツァーのコンセプトから外れるのかもしれないが、クラフトビールの評価サイトUntappledではハードセルツァーの評価上位はほとんどがスムージー系。
定番のハードセルツァー
ハードセルツァーで圧倒的なシェアを持つのがホワイトクローとトゥルーリの2つのブランド。ともに定番のフレーバー(5%のアルコール、グルテンフリー、砂糖、炭水化物が1~2g)から、アイスティーやアルコールを強化したものなどラインナップを増やしている。アメリカ国内のスーパーやバー、どこでも手に入る。2020年には2社で80%近いシェアを獲得していたが2021年になり参入が増えたこともあり60%程度。それでも引き続き高いシェアをもっている。
ホワイトクロー(White Claw)
圧倒的なシェアNo1でハードセルツァーの流行をつくりだしたブランド。ブラックチェリー、マンゴー、スイカといった定番のフルーツフレーバーが11種類のほか、アイスティーとレモンやラズベリーといったフルーツフレーバーを合わせたものやアルコールを8%にしたものなど20種類近いフレーバーを楽しむことができる。バラバラに買うこともできるがバラエティパックで購入されるケースが多い。
トゥルーリー(Truly)
ホワイトクローに次ぐシェア。大手ビールメーカーでサミュエルアダムスのブランドで有名なボストン・ビールのハードセルツァーブランド。クラシックシリーズでは定番のベリー系、シトラス系、トロピカル系にそれぞれ4種類のフレーバー、さらに糖質ゼロ、カロリーゼロのもの、アルコール8%のものなど。さらに、レモネードとフルーツフレーバーやアイスティーとフルーツフレーバーを合わせたシリーズ、フルーツフレーバーを強化したパンチなど新しいカテゴリをどんどんリリース、全て合わせると30種類ほどのフレーバーがある。
ハイヌーン(High Moon)
他のハードセルツァーと違い、ウォッカをベースにスパークリングウォーター、フルーツジュースでつくられている。ハードセルツァーのコンセプトである、低カロリー(100カロリー)やグルテンフリーでウォッカを使用しているというところが他のの違い。グレープフルーツ、ブラックチェリー、パイナップル、ウォーターメロン(スイカ)、ライム、ピーチ。
バドライト・セルツァー
大手のビールメーカーアインハイザー・ブッシュ・インベヴ社、バドライトはアメリカでは暑い日に飲む軽いビールの定番。でハードセルツァーとも飲まれる場面は似ている。サトウキビ、天然のフルーツフレーバー、独自の5段階ろ過プロセスによってすっきりした後味。定番はストロベリー、レモンライム、ブラックチェリー、マンゴーでアルコールは5%、100カロリー、砂糖1グラム未満、炭水化物2グラムと上位2社と同じ。レモネード、アイスティー、アルコール8%、季節限定、など、こちらも多くのラインナップがある。
BON V!V
その他のメーカー
コロナ・ハードセルツァー
コロナもバドライト同様に暑い日に飲まれるさわやか系ビールの定番。そのコロナがつくるハードセルツァー。90カロリーは他社より低く、砂糖、炭水化物がゼロ。定番のバラエティパックは、ブラックベリーライム、トロピカルライム、マンゴー、チェリー、その他、メキシコ版のレモネードのリモナーダ(Limonada)はレモンとメキシカンライムの明るい柑橘系のフレーバー。
ゼロシュガー、グルテンフリー、人気はグレープフルーツ、その他ブラックチェリー、マンゴー、クランベリーなどの定番フレーバーの他、ココナツパイナップル、ラズベリードラゴンフルーツ、など。
ホセクエルボ(Jose Cuervo)
メキシコのテキーラの大手クエルボがつったテキーラベースのハードセルツァー。マンゴー、ブラックチェリー、ライム、グレープフルーツに軽いテキーラの味わい。アルコール4.5%、90カロリー、炭水化物、グルテンフリー。
トポチコ(Topo Chico)
メキシコにあるスパークリングウォーターで有名なトポチコ、2017年にコカ・コーラに買収されたメーカー。タンジーレモンライム、トロピカルマンゴー、ストロベリーグアバ、エキゾチックパイナップルなどユニークなフレーバーが特徴。フレーバーの種類は少ないがトポチコ特有の泡立ち、甘すぎないフルーツフォワードな味わい。
コナブリューイング(Kona Brewing)
ハワイのコナブリューイングのハードセルツァーは、トロピカルパンチなどハワイらしいフレーバー。トロピカルパンチはパイナップル、オレンジ、チェリー、グレープ、タンジェリン、その他、計4種類のフレーバー。100カロリー、アルコール5%、砂糖ゼロ~2グラム。
クラフトハードセルツァー
主要なビールブランドがブランド力、流通力を使ってハードセルツァーのシェアを獲得している一方でクラフトブランドも、特に地元のローカル市場や、特定のターゲット層でシェアを伸ばし始めている。また定番のもの以外にも少し変わったフレーバーなど特徴のあるものも。
アンタイトルドアート(Untitled Art)
フロリダにある新しいコンセプトのクラフトビールをつくるブリュワリーのハードセルツァー(フロリダセルツァー)、フロリダの卓越したフルーツブレンドから着想を得た本物の果物で醸造されたハードセルツァー。低カロリー、グルテンフリー、砂糖4グラム、炭水化物6グラムとハードセルツァーにしては若干高い。ブラックチェリー、ブラックベリーリュウゼツラン、ブラッドオレンジザクロ、などのフレーバー。
スモージ(Smooj)
もはやハードセルツァーのカテゴリではなさそうですが、「ハードスムージーのようなハードセルツァーをつくったらどうなるか」という疑問に本物の果物を使ってくつられた。ミシガン州アナーバーにあるマイクロブリュワリー。アルコール5%、グルテンフリーだがカロリーは240カロリー、砂糖も20グラム以上。ストロベリーバナナ、ピニャコラーダ。Smooji以外にもマイクロブリュワリーを中心にスムージーハードセルツァーの人気が高まっている。
フィックス(Ficks)
味を損なうことなくカクテルから砂糖をカットするという二人の大学生がはじめたのがフィックス。モルトリキュールの代わりにカリフォルニアのオレンジジュースを発酵させてつくっているためフルーティーな味わい。ブラックベリー、クランベリー、グレープフルーツ、マンゴー。
フライングエンバーズ(Flyign Embers)
フルーツフレーバーにチリ、カイエン、ハラペーニョなどの唐辛子を加えたピリッとした辛さが特徴のハードセルツァー。この他にもこちらもアメリカで人気のコンブチャをつかったハードコンブチャなどもリリース。いずれもオーガニック認定。
ストーン(Stone Brewing)
カリフォルニア州サンディエゴにある人気のクラフトビール醸造所。2021年の7月にハードセルツァーをリリース。マンゴー、ブラックチェリー、マンダリン、スイカとライム、のフレーバーで100カロー、炭水化物2グラム、砂糖1グラム以下、と一般的なハードセルツァーと変わらない。
コメント