クラフトビールの本場アメリカ。そのアメリカでは様々なスタイル(種類)のクラフトビールがある。その中でも代表的なものを選んでみたいと思います。紹介する銘柄はそのスタイルの中でもアメリカで最も評価の高いものと比較的の醸造所で大手で日本でも入手できそうなものの中から選んでみました。
アメリカのクラフトビールのスタイル
アメリカのBrewers Associationという業界団体は毎年ガイドラインを出しており、まず大分類として
・エールスタイル
・ラガースタイル
・ハイブリッド(ミックスラガーまたはエール)
の3種類がある。
それぞれの中でも、英国、アメリカ、ベルギー、アイルランド、ドイツなどの起源をもとにさらに細分化され最終的には100種類以上に分類している。
色、透明度、モルトとホップそれぞれのアロマ(香り)とフレーバー(味わい)、苦み、発酵特製、ボディなどの特徴がそれぞれ異なる。
定量的には、ABV(アルコール度数)、IBU(苦み)、SRM(色の濃さ)で表現される。それぞれのカテゴリーの目安となる範囲があるが完全に当てはまらないこともある。
その中で紹介するのは、アメリカでもっともポピュラーなのが「アメリカンIPA」、さらにアルコール、苦みが強い、「インペリアル(またはダブル)IPA」、最近はやりの濁った色でフルーティーな「ヘイジーIPA(またはニューイングランドIPA)」、より親しみやすく食事にもあう「アメリカンペールエール」、黒ビールからはアルコール度数が高くバーボンやウイスキーの樽で熟成されることも多い「アメリカンインペリアル・スタウト」、アメリカ独自スタイルの「カリフォルニアコモン(スチームビール)」、おまけでパンチの強いビールが多いのでドイツのスタイルの「ヘフェヴァイツェン」。それらの特徴と代表的な銘柄を紹介します。
アメリカンIPA
【特徴】フローラル、フルーティ(ベリー、トロピカル、核果など)、シトラス、パイニー(松の香り)、レジン(樹脂)、硫黄などホップのフレーバーとアロマ、苦みが特徴。アメリカでも最も人気があるスタイル。イングリッシュIPAより風味豊かで芳香がある。苦みは中~高いレベル。
【定量データ】ABV(アルコール度数):6.3~7.6%、IBU(苦み):50~70、SRM(色の濃さ):6~14
【飲み方】チューリップ型もしくはノニック型グラス、温度13~15℃
ツゥーハーテッドエール(Two Hearted Ale)/ベルブリュワリー(Bell’s Brewery)
ミシガン州にある醸造所100%センテニアルホップ、パイニーやグレープフルーツの香り、モルトとの完璧にバランスが取れておりフルーティーなアロマとの組み合わせで非常に飲みやすい。
AHA(American Homebrewers Association) の発行するZymurgy誌で4年連続最高の栄誉を獲得。
ABV7.0%、IBU60、BA(Beer Advocate):95, Untapped:3.95
ストーンIPA(Stone IPA)/ストーンブリューイング(Stone Brewing)
サンディエゴにあるストーンブリューイングでもっとの人気のある西海岸を象徴するIPA。97年発売、アメリカで最も売れているIPAのひとつ。黄金色、トロピカル、柑橘系、パイニーホップのフレーバーとアロマ、微妙なモルトとの完璧なバランス。ミディアムボディですっきりした余韻のある苦み。
ABV6.9%、IBU71、BA(Beer Advocate):94, Untapped:3.77
スカルピン(Sculpin)/バラストポイントブリューイング(Ballast Point Brewing)
ストーンと同じサンディエゴにある西海岸のIPAのパイオニア的な存在、スカルピンは非常に人気のあるIPA、何年にもわたる実験の結果、5つの異なるステージでエールをホッピングすることで特別なものが生まれることを発見、アプリコット、ピーチ、マンゴー、レモンのフレーバー。
ABV7.0%、IBU70、BA(Beer Advocate):98, Untapped:3.96
インペリアル(またはダブル)IPA
【特徴】ホップのアロマとフレーバーが強く、フローラル、フルーティ(ベリー、トロピカル、核果など)、シトラス、パイニー(松の香り)、レジン(樹脂)、硫黄などホップのフレーバーとアロマ、苦みが特徴。アメリカンIPAと比較するとより新鮮なホップ、堅牢なモルトがありアルコール性の高い。
【定量データ】ABV(アルコール度数):7.0~%12.0、IBU(苦み):65~100、SRM(色の濃さ):2~9
【飲み方】チューリップ型、温度13~15℃
プリニー・ザ・エルダー(PlinyThe Elder)/ロシアンリバー・ブリューイング(Russian River Brewing)
カリフォルニアのソノマカウンティにある蒸留所。モルト、ホップ、アルコールんおバランスが良く、フローラル、シトラス、パイン(松)のフラッシュなホップのアロマにより少し苦い。カリフォルニア外では入手難だが非常に人気が高い。
ABV8%、IBU100、BA(Beer Advocate):100, Untapped:4.51
エンジョイ・バイxx.xx.xx(Enjoy By xx.xx.xx)/ストーンブリューイング(Stone Brewing)
フィルターでのろ過をしないダブルIPA、かすんだ外観、ピーチとトロピカルフルーツのホップお香り。通常のフィルターのバージョンと比較するとフルーツフォワード。鮮度は多くのビールにおいて重要だが特に柑橘系のフローラルIPAでは重要。ビールの名前自体にそのメッセージを表現。
ABV9.4%、IBU90、BA(Beer Advocate):98, Untapped:4.05
ヘイジーIPA
【特徴】ニューイングランド発祥のため、ニューイングランドIPAと呼ばれることもある。ホップのアロマとフレーバーを強調し、レイトホッピングとドライホッピングの技術によってジューシーでトロピカルルなで濁った(ヘイジー)IPAとなる。アメリカではここのところ人気い。
【定量データ】ABV(アルコール度数):6.3~7.5%、IBU(苦み):30~50、SRM(色の濃さ):3~7
【飲み方】パイントグラス、温度7~13℃
ヘディトッパー(Heady Topper)/アルケミスト(The Alchemist)
バーモント州にある、ヘイジーIPAの元祖で最も評価が高い醸造所。流通が限られているため今でもクラフトビールファンの憧れのひとつ。マンゴーなどのトロピカルフルーツ、オレンジ、ドライホップのさわやかな香り。※ダブルインペリアルIPAに分類されることも多いが、その後のヘイジーIPAの元祖となったことからここではヘイジーIPAに分類しました。
ABV8%、IBU100、 BA(Beer Advocate):100, Untapped:4.54
その他のヘイジーIPAはこちらから。苦くないニューイングランドスタイルのヘイジーIPA
アメリカンペールエール
【特徴】フローラル、フルーティ(ベリー、トロピカル、核果など)、シトラス、パイニー(松の香り)、レジン(樹脂)、などのフレーバーとアロマ、トーストしたモルト感。モルトとホップのバランスは食事にも合わせやすく最も親しみやすいスタイルのひとつとして人気が高い。苦みは中~やや高め。
【定量データ】ABV(アルコール度数):4.4~5.4%、IBU(苦み):30~50、SRM(色の濃さ):6~14
【飲み方】チューリップ型またはパイントグラス、温度7~13℃
ゾンビダスト(Zombie Dust)/3フロイドブリューイング(3 Floyds Brewing)
インディアナ州で1996年に設立されたブリュワリーでアメリカのビール好きから非常に高い評価を得ているペールエール。ブリュワリーからのテイスティングのコメントは ”This intensely hopped and gushing undead Pale Ale will be one’s only respite after the zombie apocalypse. Created with our marvelous friends in the comic industry” 意味不明だがとにかく評価が高いビール。
ABV6.5%、IBU62、 BA(Beer Advocate):100, Untapped:4.28
ペールエール(Pale Ale)/シエラネバダ(Sierra Nevada Brewing)
1980年に発売されアメリカのクラフトビールに革命をもたらした。クラッシックなスタイル。濃い琥珀色とコクのある複雑な味わい。プレミアムカスケードホップがペールエールに柑橘類、パイニーなアロマとスパイシーなフレーバーを与える。
ABV5.6%、IBU38、BA(Beer Advocate):90, Untapped:3.63
アメリカンインペリアル・スタウト
【特徴】アメリカンスタイルのスタウトでスタウトの中でもボディ、アルコールともに最も強い。非常に豊かなモルトのフレーバーとアロマにローストしたモルト(またはホップ)から甘みが加えられる。フローラル、シトラス、ハーブ。ウイスキーやバーボンの樽で熟成させる場合もある。
【定量データ】 ABV(アルコール度数):7.0~12.0%、IBU(苦み):50~80、SRM(色の濃さ):40+
【飲み方】スニフター、温度10~13℃
KBS/ファウンダーズブリューイング(Founders Brewing)
大量のコーヒーとチョコレートで醸造されたインペリアルスタウト。その後、オークのバーボン樽で1年間熟成。バニラ、ココア、焙煎コーヒー、焦げたオークのノート。信じられないほどシルキーでコクがある。
ABV12%、IBU70、 BA(Beer Advocate):100, Untapped:4.4
バーボンカントリーブランドスタウト(Bourbon Country Brand Stout)/グースアイランド(Goose Island)
ヘブンヒル、ワイルドターキー、バッファロートレースなどの蒸留所のバーボン樽を組み合わせてブレンド、バーボン樽で8〜14か月間熟成。チョコレートとバニラ、オーク、ウイスキー、糖蜜のフレーバーに続いて、キャラメル、ベリーフルーツ、アーモンドのフレーバー。
ABV14.4%、IBU60、 BA(Beer Advocate):100, Untapped:4.39
カリフォルニアコモン(スチームビール)
【特徴】ラガーイーストで醸造されるが、エール発酵温度で発酵されるハイブリッドなスタイル。トーストしたキャラメルのようなモルトの特徴。琥珀色で苦みは中程度、ミディアムボディ。サンフランシスコのアンカースチームで有名になったスタイル。
【定量データ】ABV(アルコール度数):4.6~7.6%、IBU(苦み):50~70、SRM(色の濃さ):6~14
【飲み方】チューリップ型もしくはノニック型グラス、温度13~15℃
アンカースチーム(Anchor Steam)/アンカースチームブリューイング(Anchor Steam Brewing)
ヘフェヴァイツェン
【特徴】ドイツのスタイル、ヘフェ(hefe)はドイツ語で濁り、ヴァイツェン(weizen)は小麦の使用を意味する。ホップ、モルトのアロマは少なく、苦みもない。グローブ、ナツメグ、バニラ、バナナエステルのアロマとフレーバー。
【定量データ】ABV(アルコール度数):3.9~5.6%、IBU(苦み):10~15、SRM(色の濃さ):3~9
【飲み方】花瓶型グラス、温度5~7℃
ケラーワイス(Keller Weis)/シエラネバダ(Sierra Nevada Brewing)
伝統的あバイエルンの技術、オープンタンクでの発酵、フルーティーな香りとスパイシーなグローブとバナナブレッドの香りが特徴的、複雑でビロードのような食感とさわやかなフィニッシュ。
ABV4.8%、IBU17、 BA(Beer Advocate):91, Untapped:3.57
ヘフェヴァイス(Hefe Weiss)/ヴァイエンステファン(Weihenstephaner)
本場ドイツのヘフェヴァイツェン。タイトルはアメリカのクラフトビールですがすみません。クローブの香り、さわやかなバナナの風味。フルボディ、なめらかな酵母の味わい。
ABV5.4%、IBU14、 BA(Beer Advocate):98, Untapped:3.8
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